enpaku 早稲田大学演劇博物館

プロローグ 戦争と演劇の関わり

演劇は戦争体験を語り得るのか ——戦後 80 年の日本の演劇から——

プロローグ 戦争と演劇の関わり

 本展で取り上げるのは、戦争という近代的事象を演劇という前近代的な媒体を用いて描出しようと試みた作品群である。
 これまで、第二次世界大戦やそれ以前の戦争と演劇との関係は、国威高揚や「銃後」の息抜きといった視点から語られがちであった。しかし映画とは異なり、現実からの距離を必然的に抱えてしまう演劇はいかに戦争を捉え、表象してきたのか。
 まずは日清戦争から第二次世界大戦中までの事例から紹介する。