enpaku 早稲田大学演劇博物館

企画・特別展

早稲田大学演劇博物館 2025年度春季企画展

演劇は戦争体験を語り得るのか ——戦後 80 年の日本の演劇から——

演劇は戦争体験を語り得るのか——戦後 80 年の日本の演劇から—— 展

 

 2025 年は、第二次世界大戦終結から 80 年という節目の年です。文学や映画などと同様に、演劇というジャンルにおいても、この間、戦争を題材とする多くの作品が生み出されてきました。演劇はその特性上、戦争の悲惨な光景を必ずしも映画のような写実性や小説のような詳細さを伴って描き出すことはできません。だからこそ劇作家たちは、舞台美術による暗示の効果や、役者の発する台詞が客席にいる人びとへの鋭い問いかけにもなるという演劇の強みを活かし、戦後に生きる私たちが戦争の記憶にアクセスしうるようなドラマトゥルギーを模索してきました。
 本展では、公演ポスターや戯曲原稿、舞台美術模型、そして公演映像などの資料を、演劇作品内容の説明とあわせてご紹介し、日本の演劇作品において第二次世界大戦の経験がどのように語られ、表象されてきたのかを紐解きます。
 過去の演劇における戦争表象のあり方を見直すことは、今現在も世界各地で継続している戦争に直面する現代の私たちにとって、きわめて重要なことであるといえます。本展が、普段から演劇に親しんでいる方々にとってはもちろんのこと、これまであまり馴染みがなかったという方々にとっても、「戦争という凄惨な現実を前に、はたして芸術に何ができるのか」という普遍的な問いを考える糸口となれば幸いです。

会期:2025年5月12日(月)〜8月3日(日)
開館時間:10:00-17:00(火・金曜日は19:00まで)
休館日:5月28日(水)、6月4日(水)、18日(水)、7月2日(水)、16日(水)
会場:早稲田大学演劇博物館 2階 企画展示室I・II
入館無料
主催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点
助成:公益財団法人 花王芸術・科学財団

※日程は都合により変更する場合がありますので、最新情報は当館ホームページをご確認の上ご来場ください。



堀尾幸男舞台美術模型 野田秀樹『パンドラの鐘』(1999年)
堀尾幸男舞台美術模型 野田秀樹『パンドラの鐘』(1999年)
写真:稲口俊太 提供:「堀尾幸男 舞台美術の記憶」事務局

 
別役実『象』自筆原稿(1962年)
別役実『象』自筆原稿(初演:1962年)
 
マキノノゾミ『東京原子核クラブ』俳優座劇場プロデュース公演ポスター(2012年)
マキノノゾミ『東京原子核クラブ』俳優座劇場プロデュース公演ポスター(2012年)
イラスト:伊波二郎
宣伝美術:ミネマツムツミ

 
兼島拓也『ライカムで待っとく』KAAT神奈川芸術劇場プロデュース公演ポスター
作:兼島拓也・演出:田中麻衣子 KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ライカムで待っとく』公演ポスター(2022年)/宣伝イラスト:岡田みそ/宣伝美術:吉岡秀典
 

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