会場:3階 常設展「近世・近代 I 」
1. 歌舞伎等舞台図屏風 2018年3月23日 - 4月17日【終了】
17世紀前半頃の歌舞伎舞台を描いた図。遊女歌舞伎から若衆歌舞伎、前髪を隠す帽子をつけた野郎歌舞伎まで、多様な舞台景観が華やかな色彩で一堂に描かれている。筆写年代は18世紀後半頃と考えられるが、種々の屏風などからの転写を取り混ぜたものかと思われる。屏風は六曲一双で、片隻には能舞台での芸能が描かれている。
2. 女歌舞伎図屏風 2018年4月19日 - 5月8日【終了】
17世紀初頭の歌舞伎舞台を描いた屏風。美術雑誌『國華』989号(昭和五十一年四月)で楢崎宗重氏が紹介された歌舞伎図屏風が、本館の所有に帰することとなった。京の名所が描写されており、右半分には八坂の塔、八坂神社の楼門と境内を配し、左半分には初期の歌舞伎の芝居が二軒描かれている。女歌舞伎や若衆歌舞伎が上演されているが、舞台上にはまだ三味線が用いられていない。観客席の様々な表情や風俗もうかがえる貴重な資料である。
3. 都万太夫座歌舞伎図屏風 2018年5月10日 - 6月5日【終了】
延宝末年から元禄初年(1678~1690)頃の作画。京都の都万太夫座が延宝6年(1678)に四条南側から北側に移転した後の景観である。六曲一隻のうち、右三扇に祇園社と四条の町を、左三扇に都万太夫座内外の賑わいを描く。舞台のみならず、劇場表の呼び込みや看板の飾り、屋根のない土間の客席など、17世紀後期における上演の様子を伝えている。
4. 享保期 市村座場内図屏風 2018年6月7日 - 6月26日【終了】
舞台上の破風屋根を支える柱に、「英分身曽我」という名題看板が掲げられていることから、享保18年(1733)1月江戸市村座の上演を描いていることが分かる。絵師は不明ながら、舞台や花道、土間や桟敷といった場内の構造とともに、熱気を帯びた観客席の賑わいが伝わってくる。「英分身曽我」は伊原敏郎『歌舞伎年表』によると、津打治兵衛作、二世市川団十郎の五郎と記録されており、本図の花道で鎧を手に登場しているのが団十郎であろう。
5. 大坂芝居風俗画 貼交屏風 前:2018年6月28日 - 7月17日、後:7月19日 - 8月5日【終了】
明治初期の大阪における劇場風俗を、舞台や客席、楽屋や能舞台の様子などを様々な角度から描いている。屏風に貼られた全36枚の風俗画のモデルは10世紀片岡仁左衛門(1851~1895)、絵師は歌川国芳門下と思しき南粋舎芳雪。前近代の面影を残す劇場の様子、江戸と異なる劇場構造や上方独自の呼称などが見られる。画中の人物を髷姿で描くなど、江戸期に仮託して描いたふしもあるが、幕末明治の芝居、そしてそこに集う人々の雰囲気をよく伝えている。