enpaku 早稲田大学演劇博物館

第3章 「焼け跡世代」の演劇人と戦争の影

演劇は戦争体験を語り得るのか ——戦後 80 年の日本の演劇から——

第3章 「焼け跡世代」の演劇人と戦争の影

 1960 年代アンダーグラウンド演劇の担い手となった寺山修司、別役実、唐十郎らはいずれも「焼け跡世代」(1935~46 年生まれ)の演劇人である。作品の前面に出されるテーマは必ずしも戦争ではないものの、彼らの作品の多くには、第二次世界大戦の記憶を呼び覚ます人物が登場したり、戦争の影が作品の根底に横たわっていたりするという特徴がみられる。
 本章では、この「焼け跡世代」の演劇人たちと、それに続くつかこうへいの作品を取り上げ、彼らが戦争の記憶といかに向き合い、作品を制作したのかを振り返る。