太田省吾の遺した足跡
その創造プロセスのなかで生成する言葉と沈黙
太田省吾(1939-2007)は、日本現代演劇を代表する演出家・劇作家の一人であり、時代、地域、あるいは舞台芸術というジャンルの境界を越えて、数多くの人々を魅了してきました。後続世代のアーティストによっても太田作品の新演出がさまざまに手がけられており、没後16年を迎える今なお、ますます大きな注目を集めています。
「沈黙劇」と呼ばれる独自のスタイルを切り拓き、新たな表現領域に挑み続けた太田省吾の足跡は、現在、私たちに何を語りかけているのでしょうか。本展は、そうした問いについて、貴重な演劇上演資料の紹介を通して再考する試みです。
展示空間に並ぶ、太田の遺した手稿、台本、舞台映像など多くの未公刊資料には、人間の生の一瞬をかけがえのないものとして希求し、時代に応答する表現を模索した深い思索を垣間見ることができます。そして、その創造プロセスのなかで生成された「言葉」と「沈黙」には、大量の情報が瞬時に消費されていく現代社会と、そこに暮らし生きる私たちの姿を、透視する力が秘められているはずです。
この機会に、ぜひ多くの方々にご来館いただき、今も生気に溢れる演劇活動の記録に触れてほしいと願っています。
会期:2023年10月2日(月)~2024年1月21日(日)
開館時間:10:00-17:00(火・金曜日は19:00まで)
休館日:10月4日(水)、25日(水)、11月1日(水)、15日(水)、23日(木・祝)、12月6日(水)、20日(水)、26日(火)〜2024年1月8日(月・祝)、17日(水)
※日程は都合により変更する場合がありますので、最新情報は当館ホームページをご確認の上ご来場ください。
会場:早稲田大学演劇博物館 1階 特別展示室
入館無料
主催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点
▼展覧会 information
会場では、本展ブックレットを配布中です。
各章の解説と資料図版、寄稿、作品上演リスト、著作の一覧など充実の内容です。
※尚、ブックレットはなくなり次第配布終了となります。
詳細は刊行物のページから。
▼関連シンポジウム
共同利用・共同研究拠点連携プロジェクト
言葉と沈黙のありか――太田省吾の仕事をめぐって
日時:12月07日(木)17:30-20:30
会場:早稲田大学小野記念講堂
定員:150名 ※事前予約制、定員を超えた場合は抽選
申込期間:11月09日(木)10:00-11月30日(木)17:00
登壇者(敬称略・五十音順):
安藤朋子(アクター・Theater Company ARICA)
鴻英良 (演劇批評家)
新里直之(演劇研究者・京都芸術大学舞台芸術研究センター研究職員)
花光潤子(プロデューサー・NPO法人魁文舎理事長)
森山直人(演劇批評家・多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科教授)
※司会:金潤貞 (早稲田大学演劇博物館助教)
参加無料
※詳細はこちら
▼関連イベント
特別展「太田省吾 生成する言葉と沈黙」開催記念講座
『なにもかもなくしてみる』ーー太田省吾の劇世界をめぐって
日時:10月17日(火)17:00-18:30
会場:早稲田大学演劇博物館 京マチ子記念特別展示室
講師:西堂行人(演劇評論家)
主催:早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点
※詳細はこちら
『水の駅』演出家使用台本(1981年初演、太田美津子氏所蔵)
2000年代の創作ノート(太田美津子氏所蔵)
『聞こえる、あなた?―fuga#3』舞台写真(2005年、撮影:清水俊洋、京都芸術大学所蔵)
『ある夜-老いた大地よ(「また終わるために」より)』台本草稿(2006年、太田美津子氏所蔵)