縦18.6×横15.6cm
「翁」に翁役の役者が着用する仮面。白式尉ともいう。目じりを下げ、笑みをたたえた老人の相貌で、眉にはウサギの毛が、髭には馬の毛が植えられている。さらに、切り離された下顎が上顎と紐で結ばれている切顎式の造形は能面以前の古態を留めるとされる。作者の6世野村万蔵(1898~1978)は、和泉流狂言師。5世万造の長男として生まれ、重要無形文化財各個認定(人間国宝)、芸術院会員に選任され、狂言の社会的地位向上に大きな功績を残した。若年より下村清時に入門して能面制作にも通暁し、『狂言面』等の著作もある。