『深読みシェイクスピア』(新潮文庫、2011)の裏表紙で、松岡さんは「私の翻訳は、稽古場で完成する」と言っています。28年にも及ぶシェイクスピア劇翻訳家としてのキャリアの中で、足繁く稽古場に通った松岡さんには、たくさんの演出家・俳優との出会いがありました。稽古の場は、台詞が口に乗りやすいか、耳で聴いてすぐ意味が分かるか、などに注意を向け、時には演出家や俳優の意見を取り入れて台本に手を入れます。彼らとの共同作業を通して、松岡さんの翻訳は練り上げられてきたのです。Act 2 では、松岡さんのシェイクスピア劇翻訳家としての人生を共に歩んできた演出家・俳優の方々を特別エピソードと共にご紹介します。