縦132.5×横42.5cm
昭和14年(1939)10月大阪歌舞伎座「芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」上演時の資料。わが子との別離を悲しみつつ、主人公葛の葉が障子にしたためる書「恋しくは たつね来て見よ いつみなる 信田の森の うらみ葛の葉」。演じる俳優が舞台で実際に書くのが見どころであり、実は狐である葛の葉の霊力を表すため、左手で書いたり、左右逆の鏡文字や、口で筆をくわえて書いたりと「曲書き」の技巧を要する。近代では主に関西の女形が演じたが、3世梅玉は技巧だけでない情愛の深さと古風な味わいで好評を博した。