縦22.0×横15.9cm
元禄16年(1703)5月、竹本座初演。歴史上の人物や出来事を描く時代物に対して、市井の人々を主人公とした作品ジャンルは、世話物と称される。本作で近松は、社会的な価値基準からは逸脱した手代徳兵衛と遊女お初の恋と心中を、「未来成仏疑ひなき恋の手本となりにけり」と称揚した。高い評判を得て竹本座の経営危機を救った本作は、近松が竹本座の座付作者となるきっかけにもなった。なお、今日の文楽で上演されている「曽根崎心中」は1955年の復曲で、上記の終曲の一文と、本図にみえる作品冒頭「観音廻り」をカット、本文も改変されている。