縦26.0×横18.0cm
現存する近松自筆の浄瑠璃草稿は、この演劇博物館所蔵「平家女護島」(享保4年〈1719〉、竹本座初演)と、個人蔵「けいせい反魂香(はんごんこう)」(宝永5年〈1707〉、竹本座初演)のみ。いずれも刊行された正本の本文と異同があり、草稿から本文の確定までに、推敲がなされていたことがうかがえる。「平家女護島」は、平家物語や謡曲「俊寛」に材を取りつつも、自らの選択で鬼界ヶ島に残ろうとする俊寛の行動を描く二段目が秀逸で、近松の劇作にみられるヒューマニスティックな面が遺憾なく発揮された作品である。