高96.0cm
「壇浦兜軍記(だ んのうらかぶとぐんき)」阿古屋琴責(あこやことぜめ)の段、「ひらかな盛衰記(ひ らがなせいすいき)」神崎揚屋(かんざきあげや)の段などに用いられる傾城の人形で、天狗弁(てんぐべん)作。傾城の首(かしら)は、数ある文楽の首の中でも、とりわけその芸術性が評価されている。第二次世界大戦前の文楽は、阿波の人形師・天狗久(てんぐひさ)、天狗弁などが製作した首を多く用いていたが、戦災により、それらのほぼ全てが焼失してしまった。その後は、初代天狗久に師事し、文楽座座付きの人形細工師となっていた大江巳之助が精力的に首を作り、文楽の復興を支えた。