enpaku 早稲田大学演劇博物館

企画・特別展

早稲田大学演劇博物館 2022年度春季企画展

近松半二――奇才の浄瑠璃作者

 
「妹背山婦女庭訓」・「奥州安達原」・「本朝廿四孝」・「太平記忠臣講釈」・「関取千両幟」・「傾城阿波の鳴門」・「近江源氏先陣館」・「鎌倉三代記」・「新版歌祭文」・「伊賀越道中双六」。
ここに列記した作品名は、浄瑠璃作者・近松半二が手がけた戯曲のほんの一部である。これらを書いた近松半二は、生涯で六十余りの人形浄瑠璃作品に作者署名を残している。また生前から名作者の誉れ高く、没後に編まれた随想『独判断』では、その自由自在な筆の境地をして「嗚呼作者の道至れる哉」と賞された。昨今では第161回直木賞受賞作の、大島真寿美著『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(2019年、文藝春秋)にもその生涯が描かれ、注目を集めている。
特筆すべきは、現行演目の多さである。半二は時代物を得意とし、雄大な構想と重厚かつ変化に富んだ舞台を次々に生み出していった。そしてその多くが、人形浄瑠璃文楽や歌舞伎の現行演目として伝承された。日本の古典芸能の重要な財産となっているのである。
業績の重要さにも関わらず、遺憾ながらこれまで近松半二の名を冠する展示は開催されていない。2022年度春季企画展「近松半二――奇才の浄瑠璃作者」は、演劇博物館が所蔵する膨大な日本近世演劇資料を利用して、あらためて日本演劇史における近松半二の位置づけを探るものである。

会期:2022年4月26日(火)~8月7日(日)
開館時間:10:00-17:00(火・金曜日は19:00まで)
休館日:4月29日(金・祝)、5月3日(火・祝)~5日(木・祝)、6月1日(水)、15日(水)、7月6日(水)、20日(水)
※日程は都合により変更する場合がありますので、最新情報は当館ホームページをご確認の上ご来場ください。
会場:早稲田大学演劇博物館 2階 企画展示室
入館無料
主催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点
助成:令和4年度芸術文化振興基金

※「来館にあたってのお願い」をご確認のうえご来館ください。


▼関連公演
大曲丸一段に挑む
素浄瑠璃公演inエンパク
豊竹呂太夫・鶴澤清介「袖萩祭文」に挑む!
日時:2022年6月24日(金)18:30開演予定
会場:大隈記念講堂大講堂
出演:六代目豊竹呂太夫(太夫)、鶴澤清介(三味線)
聞き手:児玉竜一(早稲田大学演劇博物館副館長)
内容:素浄瑠璃『奥州安達原』より袖萩祭文の段
   アフタートーク
主催:株式会社コテンゴテン
共催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点

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イベントレポート



▼関連公演
女流義太夫公演 in エンパク
46年ぶりに女義が帰ってきた!
日時:2022年7月25日(月)14:00開演予定
会場:大隈記念講堂小講堂
出演:竹本綾之助(浄瑠璃)、鶴澤寛也(三味線)
解説・聞き手:原田真澄
内容:
▼ 女流義太夫と『妹背山婦女庭訓』四段目について
|解説:原田真澄(演劇博物館助教)
▼ 『妹背山婦女庭訓』四段目金殿の段
|竹本綾之助(浄瑠璃)・鶴澤寛也(三味線)
▼ アフタートーク
|竹本綾之助・鶴澤寛也・原田真澄(聞き手)
主催:早稲田大学演劇博物館・演劇映像学連携研究拠点

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イベントレポート


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▼展覧会図録 information
「近松半二――奇才の浄瑠璃作者」

【目次】
巻頭口絵 人形浄瑠璃の世界
はじめに
展示趣旨

第1部 近松半二の魅力
寄稿 「半二雑感」 松井今朝子
対談 「四位一体の共同幻想」 豊竹呂太夫×大島真寿美(聞き手・児玉竜一)

第2部 近松半二の世界
第一章 浄瑠璃作者の系譜
第二章 近松半二作品図鑑
第三章 歌舞伎化の展開と同時代の演劇界
第四章 現代に⽣きる近松半二
附章   描かれた文楽人形  

第3部 近松半二の作品と上演
インタビュー「最もドラマチックな浄瑠璃作者――近松半二」 内山美樹子
「近松半二の生涯と作風―附・近松半二年譜」 原田真澄
「歌舞伎のなかの近松半二」 児玉竜一

第4部 資料編
「近松半二の映像・音声資料――作品世界への道標」 飯島満
「近松半二主要参考文献」 高井詩穂・原田真澄
「近松半二作品正本所蔵リスト」 高橋和日子・原田真澄・馬翹
展示リスト
 
謝辞

【仕様】B5判・並製・カバー装・144頁
【販売価格】:1,818円+税
【監修】早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
【編著】原田真澄
【監修・編集】:児玉竜一

*演劇博物館1階図書室カウンター、演劇博物館事務所(6号館2階)、紀伊国屋書店KINOKUNIYA WEB STOREにて販売中


三代目吉田文五郎使用の文楽人形「お染」
 

信勝画絵看板「妹背山婦女庭訓」
 

『独判断』(右は近松半二肖像)
 

錦絵、長谷川貞信画『日本名物大阪文楽座人形画集』より
「鎌倉三代記」の三浦之助義村・佐々木高綱・時政息女時姫

 

舞台写真、「伊賀越道中双六」岡崎の段より唐木政右衛門とお谷
(平成10(1998)年5月 国立劇場)

 

その他の企画・特別展